PRは20世紀初頭からアメリカで発展しましたが、キーパーソンとなるのはアイビー・リーです。これはPRSJが主催するPRプランナー資格の試験にも出題されるくらい重要人物なので、PRに関わる人はぜひ覚えておきましょう。
PRの父と呼ばれるアイビー・リー
アイビー・リー(Ivy Lee、1877年7月16日 – 1934年11月9日)は、20世紀初頭のアメリカ合衆国において、現代的なパブリックリレーションズの基盤を築いたパイオニア的存在です。
アイビー・リーは、ニューヨーク・ジャーナル・アメリカン、ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーク・ワールドなどでジャーナリストとして活動をした経歴を持ち、1905年に広告会社を設立した後、パブリック・リレーションズに進出しました。
アイビー・リーは「行動規範宣言」(Declaration of Principles)と呼ばれるものを表明しましたが、これはパブリック・リレーションズがクライアントへの義務のみならず公的な責任を持つことを示したもので、アイビー・リーの哲学を表しています。
1906年に起こったアトランティックシティ鉄道事故では、情報が錯綜する前にアイビー・リーは会社を説得して、自らが書いた最初のプレスリリースとみなされる声明を発表させました。これが今日まで続くPRの最も基本的な活動内容となっています。
1919年には、広報コンサルティング会社「オフィス・アイビー・リー&アソシエイツ」を設立しました。第一次世界大戦の間、アメリカ赤十字社の広告責任者を務め、1934年に脳腫瘍により57歳で亡くなりました。
アイビー・リーは、1914年に起こったスタンダード・オイル社の大規模なリストラ発生により大衆反感を買っていたロックフェラー家を顧客に、パブリックリレーションズの手法を用いてロックフェラー家のイメージ改善を図りました。アイビー・リーは、ロックフェラー家の社会的貢献を紹介するパンフレットや、ロックフェラー家の事業の透明性を高めるための報告書を発行するなど、積極的な情報発信を行いました。
アイビー・リーは、パブリックリレーションズの手法として、正直で公正な情報発信を重視し、企業や団体が社会に貢献する姿勢をアピールすることを提唱しました。彼の手法は成功を収め、ロックフェラー家のイメージを改善するとともに、パブリックリレーションズの重要性を広く認知されるきっかけとなりました。
アイビー・リーの手法は「クライアントの誠実さを前提に、事実を正確に伝える」というものでした。これは、「報道機関に対して正確な情報を提供し、不適切な情報を伝えることを避ける」という、現代的なPRの基本的な考え方と一致しています。
時間のマネジメント理論「アイビー・リー・メソッド」
ビジネスパーソンには広く知られているアイビー・リー・メソッド(The Ivy Lee Method)ですが、これはその名の通りアイビー・リーによって開発されたマネジメント技術です。
このメソッドは、アイビー・リーが提唱した「1日6件ルール」に基づいています。このルールによれば、毎日6つの最も重要な仕事を選び、その仕事に集中し、それらを完了するために必要なタスクのみに取り組むことが重要であるとされています。
このメソッドは、時間を効率的に使い、ストレスを軽減し、生産性を向上させるのに役立ちます。また、重要な仕事に優先順位をつけ、それらに専念することで、生産性を高めることができます。
アイビー・リー・メソッドは、現代の時間管理技術やマネジメント理論の基礎となっており、ビジネスマンやエグゼクティブの間で広く採用されています。